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竹菱康博

一般社団法人副業創業支援協会代表理事。株式会社クワトロ会長。

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タンスの引出し 3

人間は、完壁ではないからこそ

逃げ道を作ることで、いい作品になる。

この名人芸は

絶対コンピューターにはできない。

なぜなら

あまりにもコンピューターは

完壁主義だから。

きっと名人は

ゆとりを逃げ道と表現されたのかもしれません。


また

その逃げ道を作るためにもっと大事なことがある。

名人いわく

「逃げ道を作り出すために、その微妙な感覚を出せる道具を、自分で作ることだ」

すなわち寸法では

測れない寸法を削れるカンナなりノコギリなりを

自分で作り出すことだ。

竹菱康博
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タンスの引出し 2

名人が作ったタンスの引出しは

入れるときに非常に入れにくい。

ところが入れてしまうと

スムーズに動く。

引出しの奥の幅は

内側の寸法に

キチキチに作ってあり

手前も枠内にピッタリするように

作ってある。

それだけでは

スムーズに動かない。

真中の幅は

人には判別がつかないくらい

狭めてある。

それは寸法では測れないくらいの

長年の感覚である。

そうすることで

入れるときはきつそうだが

入れてしまうとスムーズに動き

長い間使ってもガタつきのない

タンスの引出しができるそうだ。

つまりそれが逃げ道なのだ。

この逃げ道が

良いタンスをつくる名人芸なのだ。

竹菱康博

タンスの引出し 1

50年近く

家具職人をしてきた名人と

お酒を飲む機会があった。

お酒がすすむにつれて

名人のなんたるやを感じる話を

聞くことができた。

話のとっかかりは

「逃げる道を作るのが名人や!」という

言葉だった。

私は

「名人が逃げ道を作るなんて?」と

反論すると

「素人には、わからん。他人には、判られずに逃げ道を作るのがプロの、名人」

と言う。

竹菱康博

非常識の常識 4

現代社会でも同じことが言える。

学歴社会という従来の常識も崩れつつあるし

リストラが流行って

終身雇用も崩れてきた。

しかしこの終身雇用だって

百年前にはなっかた制度だ。

ひたひたと実力社会が

確実に来つつある。

戦後のスーパースターたちも常識破りが多い。

実業界では

本田宗一郎しかり松下幸之助、スポーツ界では

長嶋茂雄やジャイアント馬場など。

非常識といわれるくらいの生きざまを

貫き通したときに初めて結果が出る。

ただし

確固たる自信をもち

信念を貫き

結果がでるまで辛抱する。

これがなければ

単なるバカヤロウで終わる。

「近頃の、若いヤツは」という

言葉がよくロにでるようになれば

また常識ばかりを語るようになると

頭が固くなっていると自覚するべきだ。

常識とは、変わるもの。

竹菱康博

非常識の常識 3

昔は人生五十年の時代。

早く子供をつくって子孫を

残さなければならない時代だった。

だから十五歳になれば

もう成人として認められた。

つまりたかだか2~3百年で

常識なんてガラリと変わる。

もっと歴史をひもとけば

天動説と地動説もいい例だろう。

コペルニクスが天動説を唱えたとき

その時代の誰ひとりとして

地球が自転していることを

信じなかった。

竹菱康博

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